2020-01-12 あの子の夢 わたし なんであんな夢を見たんだろう。 わたしはあの子のことをそんなに好きではない。 いつもお洒落なもので身を包み、他の人なら浮いてしまいそうな赤色のリップをひいて、赤色の鞄を持って、あの子だけの世界を生きている。 それでいて、そう、わたしにも優しい。 紫からオレンジのグラデーションになる夕焼けに、ぴったりとはまってしまうような綺麗な紙を、まっすぐに両手を伸ばして掲げていた。 その写真をわたしが撮ろうとする頃には、もう空は真っ黒になっていた。 “特別な意味”なんてものは、ないのかもしれない。